仙台高等裁判所 昭和26年(う)663号 判決
司法警察員が実験により事物の状態を認識するため任意に作成した、いわゆる実況見分書は、その本質において司法警察員の検証調書に外ならない。しかしてその実験の現場において被告人その他の者を立会わせて見分事項を明確にするため必要な状態を任意に検証の目的物に関連した事実につき指示説明させるが如きは実況見分の手段に過ぎないのであるから立会人の指示陳述を録取して実況見分書に掲記したからとて、その実況見分書に証拠能力がないものとすることはできない。今所論の実況見分書を見るに司法警察員は立会人小野喜代子、同小野定雄等の見分の目的物に関連する事項についての指示陳述を録取し同人等はいずれも右の書面に記名押印して居る事が認められるのであるからその記名押印が単に居住者の任意捜査である実況見分についての承諾を証するための証憑に過ぎないもので指示陳述人としての署名又は押印がないものであると見るのは失当である。